当共同研究講座では、GPUを用いて量子化学計算を高速化しています。その研究成果をひとつのソフトウェアに統合し、OSSとして一般公開しました。量子化学の複雑な理論を分子積分からスクラッチで実装し、GPUアーキテクチャに最適化した並列アルゴリズムを開発しました。GANSUでは現在、量子化学の中でも最も基礎的な計算手法であるハートリーフォック法が実行可能ですが、さらに高精度なポストハートリーフォック法なども高速化していきます。GANSUはC++/CUDAで実装されており、計算機科学分野の研究者やエンジニアにとっても扱いやすい設計となっています。今回の成果では、GPUの計算性能を最大限活用することで既存のソフトウェアに対して最大7.1倍の高速化を達成しました。当共同研究講座では、引き続きさらなる計算性能の改善や機能拡張によって大規模かつ高精度な量子化学計算の実現を目指していきます。本成果の詳細については、広島大学のプレスリリースや富士通研究所の技術ブログも合わせて参照ください。また研究室のZennではGANSUの実行方法や量子化学計算についても発信しており、関連論文は本HPのPublicationに掲載しています。

GitHub:https://github.com/Yasuaki-Ito/GANSU
Zenn:https://zenn.dev/p/comp_lab
プレスリリース:https://www.hiroshima-u.ac.jp/news/89271
富士通研究所の技術ブログ:https://blog.fltech.dev/entry/2025/03/27/gansu-ja
コンピュータシステム研究室:https://cs.iss-j.org/
知的システム研究室:https://www.emb.hiroshima-u.ac.jp/